「何んでも貸します、近藤産興」。東海地方で長年親しまれてきたテレビCMで知られる近藤産興株式会社は、名古屋市南区に本社を置く総合レンタル企業だ。イベント用品や建設資材はもちろん、仮装衣装、着ぐるみ、介護用品、事務機器まで幅広く取り扱い、塗装工事や産業廃棄物処理も手がけている。
なかでも異彩を放つのが、1970年代半ばに約27億円で購入したとされるジェット旅客機を、米アメリカン航空に貸し出したというエピソードだ。なぜ名古屋のレンタル会社が旅客機を購入したのか。創業時の塗装業からどのように事業を広げ、2026年にはどのような会社になっているのか。公式サイトの会社概要・沿革・事業紹介、CBCラジオの取材記事、2026年の社長インタビューなどをもとに、その実像を整理する。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 事業の中心:名古屋市南区に本社を置き、イベント用品、建設機材、介護用品、仮装衣装などを扱う総合レンタル企業。
- 驚きの航空機事業:1970年代半ばに約27億円のジェット旅客機を購入したとされる。アメリカン航空への貸し出し期間は資料によって記述が異なる。
- 2026年の現在:2026年に社長交代を公表。レンタル事業に加え、塗装・工事、産業廃棄物処理など複数の事業を継続している。
【事業内容】近藤産興は何を貸している?ジェット機から茶碗までの幅広い品ぞろえ
近藤産興の特徴は、特定の用途に絞ったレンタル会社ではなく、法人の事業活動から個人の日常生活、地域イベントまでをカバーする総合レンタル企業であることだ。公式サイトでは、愛知県を中心に岐阜県・三重県・静岡県などの東海エリアでレンタル・リースを展開していると案内している。
「何んでも貸します」というキャッチコピーは、単に品ぞろえの多さを表すだけではない。購入するほどではないものの、短期間だけ必要になる設備や道具を、必要なときに利用できる仕組みが事業の根幹にある。
- イベント用品・会場設営:テント、会場備品、音響・映像機器、模擬店用品、パーティー用品、運動会用具、遊具など。
- 建設資材・建設機械:仮設ハウス、枠組足場、仮設部材、安全用品、鉄板、ゴムマット、発電機、照明機器、工具など。
- 仮装衣装・着ぐるみ:和装・洋装の衣装、仮装衣装セット、着ぐるみなど、催しや撮影に使うアイテム。
- 介護用品:介護用ベッドなどの福祉用具・介護機器を扱うレンタルサービス。
- 事務用品・生活家電:机、椅子、事務機器、家具、家電、冷暖房機器、仮設ハウスなど。
イベント事業では、物品を貸し出すだけでなく、企画の提案から会場設営、撤去までを支援する。公式の事業紹介によると、イベント用品の保有数は数千点に及び、「愛・地球博」をはじめとする大規模プロジェクトへの協力実績もある。
建設現場向けのサービスも、機材の貸し出しだけでは完結しない。工事の開始時に必要となる仮設事務所や足場、安全用品、電源設備などをまとめて手配できることは、現場の準備負担を抑えるうえで意味がある。
さらに、近藤産興はレンタル以外の事業も展開している。塗装・防水・建築営繕工事、機械設備の製作・整備・メンテナンス、産業廃棄物処理などがその代表例だ。LPガスの供給販売も事業内容に含まれるが、公式会社概要では特定の取引先に限った販売と説明されている。
つまり、近藤産興は「珍しいものを貸してくれる会社」というイメージだけでは捉えきれない。個人向けの生活用品から、企業の設備投資や工事、イベント運営、廃棄物処理までを扱う、複合型のサービス企業なのである。
【会社概要・創業経緯】塗装業から総合レンタル企業へ発展した歴史
近藤産興の出発点は、1947年11月に創業した個人営業の「近藤塗装店」だ。現在の事業内容だけを見るとレンタル会社としての印象が強いが、創業時の本業は建物などの塗装工事だった。
転機となったのは、塗装作業に必要な足場である。当時は丸太を足場として使用しており、作業のために用意した丸太を他者に貸したことが、レンタル事業につながったというエピソードが伝えられている。
2021年2月のCBCラジオ「若狭敬一のスポ音」に関連する取材記事では、当時の常務取締役・近藤元帥氏が、塗装時に使う丸太を貸したお礼として菓子折りを受け取り、貸し出しが商売になると考えたことがきっかけだったと説明している。
この逸話から読み取れるのは、レンタル事業が最初から大規模な構想として始まったわけではないという点だ。自社の仕事で使用する道具を、必要とする相手にも使ってもらう。そこから「所有するより、必要なときに借りる」という発想が事業へと発展した。
会社の歩みを理解するうえで押さえておきたい節目をまとめた。
| 時期 | 出来事 | 事業上の意味 |
|---|---|---|
| 1947年11月 | 個人営業の「近藤塗装店」として創業 | 塗装工事を起点とする |
| 1964年9月 | 近藤塗装株式会社を設立 | レンタル・リースを営業種目に加える |
| 1967年5月 | 近藤産與株式会社へ社名変更 | 事業拡大に伴う組織の変化 |
| 1971年6月 | 産業廃棄物処理部門を新設 | レンタル以外の事業基盤を形成 |
| 1975年5月 | 飛島工場の焼却プラントが完成 | 産業廃棄物処理事業を本格化 |
| 1986年8月 | 在宅介護用品のレンタルを開始 | 福祉・生活支援分野へ展開 |
| 1999年10月 | 自社ホームページを開設し、インターネット予約システムを導入 | レンタル業務の情報化を進める |
| 2005年 | 愛・地球博のプロジェクトチームを編成 | 大規模イベント支援の実績を積む |
| 2026年 | 社長交代と新体制を公表 | 次の経営体制へ移行 |
※沿革は近藤産興の公式サイトを基に整理。航空機の購入時期は別の報道・紹介資料による情報であり、上表の公式沿革には記載していない。
1964年の法人設立時には、塗装工事、区画線設置工事、営繕工事、機械整備に加えてレンタル・リースを営業種目として掲げていた。つまり、現在のような多角化の方向性は、会社組織が整った段階からすでに存在していたことになる。
また、産業廃棄物処理部門を1971年に新設し、1975年には飛島工場の焼却プラントを完成させている。1986年には在宅介護用品のレンタルを始めた。工事現場向けの機材だけでなく、環境や生活支援に関わる分野にも事業を広げてきた歴史がある。
会社概要:正式名称は近藤産興株式会社。本社所在地は愛知県名古屋市南区浜田町一丁目10番地。創業は1947年11月、法人設立は1964年9月、資本金は1億円だ。2026年7月の「時局」に掲載されたインタビューでは、近藤総一郎氏が三代目社長として紹介されている。
【ジェット機27億円の真相】アメリカン航空への貸し出しと購入理由
近藤産興を調べる人が特に気になるのが、約27億円で購入したとされるジェット旅客機の話だ。地域密着型のレンタル会社と、世界規模で運航する航空会社。この意外な組み合わせは、「何んでも貸します」というCMのインパクトを象徴するエピソードになっている。
広く紹介されている経緯によると、近藤産興は1970年代半ば、航空機メーカーのマクドネル・ダグラスからジェット旅客機を約27億円で購入し、米アメリカン航空に貸し出した。大型の旅客機を自社で保有し、航空会社にリースするという、通常の生活用品レンタルとは桁違いの取引だった。
ただし、貸し出し期間については資料間で食い違いがある。近藤産興に関する百科事典系の紹介では「18年間」とされる一方、CBCラジオの2021年の取材記事では、当時の常務取締役がアメリカン航空への貸し出し実績を「10年間」と説明している。したがって、18年間という数字を確定した事実として扱うには注意が必要だ。
では、なぜ近藤産興はジェット機を購入したのか。
この取引について、購入の意思決定に至った具体的な経緯や社内での検討過程を詳しく示す一次資料は、一般に参照できる公式沿革や紹介記事からは確認できない。航空機を購入して航空会社に貸し出す行為自体は、資産を保有して賃料収入を得るリース事業の一形態だ。近藤産興の本業であるレンタル・リースの発想を、非常に高額な資産に適用した事例として理解できる。
一方、この取引は単純な成功談として語られているわけではない。CBCラジオの取材記事によれば、リース期間終了後に航空機を売却した際、円高による為替の影響を受け、想定外の損失が生じたという。取材に応じた近藤元帥氏も、為替差損が出たことを振り返っている。
海外の高額資産を扱う取引では、契約期間中の収入だけでなく、購入価格、売却時の価値、為替変動、資金調達コストなどが収益を左右する。航空機の貸し出しは、近藤産興の事業規模を象徴する一方、レンタル・リースには資産価格や為替のリスクが伴うことも示した事例だ。
なお、CMでジェット機が登場することと、現在も航空機を貸し出していることは別の話である。公開されている現在の事業案内では、イベント、建設機材、介護用品、生活関連用品などが中心であり、航空機リースが現在の主力事業として案内されているわけではない。
【CMの歴代・誕生秘話】「何んでも貸します」はなぜ長く記憶に残るのか
近藤産興の知名度を支えてきたのが、東海地方で長年放送されてきた「何んでも貸します」というテレビCMだ。独特の歌と印象的な映像によって、企業名と事業内容が一体となって記憶される広告になっている。
2021年のCBCラジオ関連の記事では、CMソングが生まれた経緯も紹介された。広告代理店の電通にCMを依頼した際、歌を作る提案があり、担当者が鼻歌交じりに歌った曲を社長が気に入ったことで採用が決まったという。綿密な制作会議を重ねて決定したというより、耳に残る軽快なメロディーがその場で評価されたというエピソードだ。
同記事では、当時すでに30年以上にわたりCMが親しまれていたことも紹介されている。長期間にわたって同じフレーズを使い続けることで、地域の視聴者に企業名を浸透させる効果が生まれたと考えられる。
「歴代CM」という観点では、旧来のCMを懐かしむ動きだけでなく、新しい媒体での発信にも注目したい。近藤産興は2025年9月、公式YouTubeチャンネルで懐かしのテレビCMをアーカイブ公開した。さらに2024年には、漫画『落合博満のオレ流転生』とのコラボレーション企画で「オレ流貸します」バージョンのCMも公開している。
これは、昔のCMをそのまま保存するだけではなく、過去の知名度を新たなコンテンツと組み合わせて活用する動きでもある。長年使ってきた広告資産を、動画配信やコラボレーションを通じて別の世代にも届ける方法だ。
なお、上下逆さまに設置された看板も話題の一つだ。CBCラジオの記事では、日光東照宮の陽明門にある逆さの柱にちなむという説や、単純な設置ミスだったという説など、複数の説明が紹介されている。逆さ看板の由来については一つの確定した説明に絞られておらず、CMと同様に、地域の人々が語り継ぐ会社の名物になっている。
【レンタル料金・費用】利用前に知っておきたい料金体系と注意点
近藤産興のレンタル料金は、商品によって異なる。公式サイトでは、仕入れ価格や原材料費の変動に伴い料金を見直していることを案内しており、過去のカタログに掲載された金額が現在の料金と一致しない場合もあるとしている。
そのため、「近藤産興のレンタルは一律いくら」と考えるのではなく、借りたい商品の種類、利用日数、必要な数量、搬入先などを明確にして見積もりを取るのが基本となる。公式の利用ガイドでは、見積もりは無料と案内されている。
料金の仕組みについて、公式の利用ガイドには初日料金と以降の日額、または初月料金と以降の月額で構成される旨が記載されている。利用する商品や契約条件によって計算方法が異なるため、申し込み時に確認したい。
費用を比較する際には、商品そのもののレンタル料だけでなく、次の項目も確認する必要がある。
- レンタル期間:機材センターから搬出された日から、返却される日までを基準に計算する。
- 搬出入・運搬費:商品や利用条件に応じて、運搬に関する費用が発生する場合がある。
- 設置・撤去費:イベント会場や建設現場で施工・設置を依頼する場合は、その費用も考慮する。
- 燃料費:発電機やコンプレッサーなど、使用に燃料を必要とする機材では燃料費が別途かかる場合がある。
- 破損・盗難・紛失:利用中の不注意や事故による破損、盗難、紛失については、利用者が負担する規定がある。
例えば、運動会の用品をまとめて借りる場合と、建設現場で発電機や足場を一定期間使用する場合では、必要な費用の構成が異なる。イベント用品なら会場への配送や設営、建設機材なら使用期間や搬出入、燃料費などが総額に影響する。
見積もりを依頼する際は、商品名と数量だけでなく、利用日、返却日、使用場所、配送・設置の要否まで伝えると、実際に必要な費用を把握しやすい。複数のレンタル会社を比較する場合も、商品料金だけでなく、運搬・設置・撤去を含む総額で比べることが大切だ。
【評判と2026年の現在】近藤産興の強み、経営体制、利用時の判断基準
近藤産興の評判を考えるうえでは、CMによる知名度と、実際のサービス品質を分けて考える必要がある。「何んでも貸します」というフレーズは東海地方で長く親しまれ、過去のCMが公式アーカイブとして公開されるほどの認知度を持つ。一方、知名度が高いことだけで、すべての商品の料金や対応品質が一律に高く評価されていると判断することはできない。
公開情報から確認できる強みは、品ぞろえの幅広さ、イベント企画から会場設営まで対応する体制、建設機材のレンタル、介護用品の提供、そしてレンタル以外の工事・廃棄物処理事業を持つ点だ。大規模なイベントや現場で複数種類の機材が必要になる場合、手配先をまとめられることは実務上の利点になり得る。
また、レンタル事業だけに収益源を集中させていない点も、同社を理解するうえで重要だ。公式の沿革では1971年に産業廃棄物処理部門を新設し、1975年に処理プラントを完成させている。2026年7月に掲載された「時局」のインタビューでも、近藤総一郎社長が、東日本大震災後に廃棄物処理事業が会社全体を支えた経緯を振り返っている。
複数の事業を持つことは、需要の変化に対応するうえで一つの強みとなる。イベントや建設関連の需要が落ち込む局面でも、別の事業が経営を支える可能性があるからだ。ただし、事業が多岐にわたること自体が、個々のサービスの安さや顧客満足度を保証するわけではない。
2026年の経営面では、会社の節目となる動きがあった。近藤産興は2026年5月21日に代表取締役社長の交代と新体制の発足を告知している。同年7月1日更新の「時局」のインタビューでは、近藤総一郎氏が三代目社長として紹介され、会社を継続できる経営体制や、社員とともに顧客に役立つ会社をつくる考えを語っている。
同インタビューでは、2027年に創業80周年を迎えることにも触れられている。1947年の塗装店から始まった企業が、長年にわたりレンタル、工事、環境関連事業を組み合わせてきた歴史を考えると、2026年の社長交代は、事業を次の世代につないでいく局面と位置づけられる。
では、利用者は近藤産興をどのような基準で選べばよいのか。イベント用品や建設資材を一括して手配したい人、必要な期間だけ機材を使いたい企業、介護用品や生活用品を借りたい人にとっては、品ぞろえと対応範囲を確認する価値がある。
反対に、最安値を最優先する場合や、利用場所が東海エリアから大きく離れている場合は、配送条件や対応地域を含めて他社と比較したい。介護用品についても、商品の種類だけでなく、利用条件や必要な手続き、費用負担を確認しておく必要がある。
また、第三者による評価を調べる際は、CMの印象や企業の知名度だけで判断せず、実際に利用する商品・サービスについての口コミ、見積もり内容、対応条件を確認することが重要だ。企業全体の評判と、自分が必要とするサービスの評価は必ずしも一致しない。
【近藤産興】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:近藤産興は何を貸している会社ですか?
A1:イベント用品、仮装衣装、着ぐるみ、建設資材、建設機械、介護用品、事務備品、家具・家電などを扱う総合レンタル企業です。イベントの企画・設営や、塗装工事、機械設備の整備、産業廃棄物処理なども手がけています。
Q2:近藤産興が約27億円で購入したジェット機は、アメリカン航空に何年間貸し出されたのですか?
A2:ジェット旅客機を約27億円で購入し、アメリカン航空に貸し出したというエピソードが知られています。ただし、貸し出し期間については、紹介資料の「18年間」と、CBCラジオの2021年の取材記事における「10年間」という記述があり、資料間で一致していません。
Q3:近藤産興のレンタル料金はいくらですか?
A3:商品、数量、利用期間、配送や設置の有無などによって異なります。公式サイトでは料金の見直しが案内されているため、掲載カタログの金額だけで判断せず、利用条件を伝えて見積もりを依頼するのが確実です。公式の利用ガイドでは、見積もりは無料とされています。
まとめ:近藤産興の強みは「何でも貸す」発想と事業の広がりにある
近藤産興は、1947年に名古屋で塗装店として創業し、1964年の法人設立を経て、レンタル・リースを中核とする総合サービス企業へ発展してきた。イベント用品や建設資材だけでなく、仮装衣装、着ぐるみ、介護用品、生活家電など、必要なときだけ使いたい多様な商品を扱っている。
約27億円とされるジェット旅客機の購入とアメリカン航空への貸し出しは、同社のレンタル・リース事業のスケールを象徴するエピソードだ。ただし、貸し出し期間は資料によって異なり、売却時には円高による為替損失も生じたと伝えられている。事業の大胆さと、資産を扱うリスクの両面を示す事例といえる。
2026年には社長交代と新体制の発足が公表され、2027年の創業80周年を前に新たな経営段階へ移っている。レンタルに加えて工事、機械整備、産業廃棄物処理などを持つ事業構成は、同社の現在を理解するうえで欠かせない。
利用者にとっての判断基準は、CMの知名度だけではなく、必要な商品がそろっているか、希望する期間と場所に対応できるか、運搬・設置を含めた総額が予算に合うかという点にある。近藤産興の「何んでも貸します」という言葉の本質は、珍しいものを扱うことだけではなく、必要なものを必要なときに使える仕組みを提供することにある。 (出典: 近藤 産 興(Yahoo!ニュース))